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Wednesday, Sep 2nd, 2009 ↓

そのうちでも,一般の人の知識がないことを見込んで,科学的には児戯に類する錯覚を呼ぶ例もある.たとえば,2009年に起こった「豪雨災害」では,日本の多くのマスメディアが,「地球温暖化の結果,日本でも異常な豪雨が見られるようになった」と報道した.しかし,2009年よりはるかに気温が低く,近い将来寒冷化すると考えられていた50年ほど前頃から,梅雨明けの時期には北九州から中国地方の西部にかけて豪雨が定期的に発生していた.1952年の諫早豪雨,1982年の長崎豪雨がそれであり,そのほかにも2009年の豪雨程度の規模の雨は頻繁に繰り返されている。

2009年のマスメディアの報道では「一日で100ミリの雨が降った.これは観測史上最高」という解説が繰り返されたが,すでに長崎豪雨などでは,1時間に180ミリを超える豪雨が観測されており,さらに一日の雨量では2009年の豪雨は,豪雨の中では雨量の少ない方だった.つまり「史上最高」という報道は狭い地域(特定の町村)などにおける記録を指したものであり,日本,もしくは梅雨明けに豪雨の見られる北九州から中国地方の記録ではない.つまり,たとえば「一軒の家ごとの記録」とすると,少し雨が降る場所が異なれば,そのたびごとに豪雨の記録が塗り替えられることになる.

記憶に新しいこの事件は,きわめて単純なトリックであるにもかかわらず,多くの日本人が「やはり異常気象は起こっているのだ.史上最高というのだから,温暖化が原因しているのだろう」と考えた.事実,テレビでもいわゆる「環境の専門家」が「ほら見たことはないでしょう.一刻も速く温暖化の対策を取らないと」と言っていた.テレビ局は,「1時間に100ミリという雨量は,特定の地域の記録であり,北九州地域ぐらいの広いところでは記録でも何でもない」ということを知っていたと思われるが,解説者の言葉を否定せずに,そのまま報道した.

このように,多くの経験を積んだ後でもまだ,同じようなことが起こっている。

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