米国の大企業には腹の立つ点も少なくないが、感心するところもいくつかある。知識や情報を文書化するのを面倒くさがらない点は、その一つだ。おかげで文書が山のようにできあがるが、それをインデックスをつけて体系的にファイリングしていく。情報処理の基本的スキルが、しっかりしているのである。だからこそ、業務もITに乗せやすいわけで、その点は自分たちとはずいぶん違うと感じる。
私の知っている日本企業はどこも真面目で製品もきっちりしているが、情報の蓄積・ファイリングとなると自前で体系を持っているところはあまり知らない。設計書・指図書とか発注書といった指示帳票は、さすがに小まめに作るが、仕事の最中に得られた様々な「ふりかえり型」の知識や教訓は、不定型なメールか会議での発言の形で発せられるだけで、それは風のように消えていってしまう。情報のフローはあるが、ストックにならないのである。「気づき」が“ぼやき”にしかならない。過去は過去として水に流して、未来だけを指向している--よく言えば、そういう態度であろう。だがそれは、経験に学ばない態度と言うこともできる。
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